Vol.64 情報・危うい金融市場!?……
Vol.64 2021.1.29 ココのところ続いているSNSを通じた個人投機集団に、米・証券取引委員会も動かざるを得ない状況になったようです。 ネット証券に関しても規制がかけられ、一般投資家には安心感が株価にも現れました。 そのSNSサイトから集団で対象となり、一時グーグル検索のトップに躍り出た“ゲーム・ストップ”。 昨日は68%の下落で終ったようです。 ニューヨークタイムズやロイターにも記事が載るほどの大きな問題とされ、市場関係者やネット証券に対して今回の規制に至ったようです。 他にも、映画館大手やアメリカン航空、ディズニーに至るまで、幅広く“荒らされた”という見解がかなりありました。 ただし株式市場では一段落したようですが、反面、貴金属市場では“不審な”動きも見られるようです!? 銀・シルバーは、米国では非常に一般的な投資対象になります。 米国の歴史上―米国の資源でもありますが、だからこそ投資の対象としても身近なものとなっています。 昔?“暗い歴史”の原因にもなったとされるシルバー・・・・・この話は、また後日にしましょう!?苦笑 そのシルバーの値動きがかなり荒くなってきたようです。 銀鉱山運営会社の株価が、18%、14%と急騰している企業が出てきました。 昨日までの“ゲーム・ストップ”社の株価のように、ヘッジファンド(空売り)の買戻しを引き出すように集団で“買い”を煽り、株価を急騰させる・・・・・・この時のような(三桁のパーセント)上昇まではいきませんが、米国・貴金属市場関係者はかなり警戒しているようです。 上昇の原因?に関しては・・・・ハッキリしていません。 だからこそ、なのですね。 金・ゴールドに関しても情報を! 2020年の金・ゴールドの総需要が発表になりました。 金総需要 3,759トン 前年比14%減 2009年リーマンショックによる国債金融危機以来の4,000トン割れになります。 昨年は金ETFなど、記録的?大量の資金が流入して価格は押し上げられました。 コロナ禍の経済環境の中、金価格の高騰が宝飾品関連の需要を逆に押し下げたようです。 投資部門を除けば、全般的に需要は低迷した結果といえます。 反面還流金(スクラップ金)の需要に注目しています。 ステイホームは日本だけでなく、むしろ世界で広がっています。 収入減などにより、庶民のスクラップ金の売却は世界的に増えていくと見ています。元々そのようなときの為のモノ、という文化もあります・・・・・。 参考程度に、ですが・・・・・・日本は世界有数の金・ゴールドの“輸出”国です!?苦笑 リーマンショック後、金の買取店舗が街中に急増したことは、皆さんもご存知ですね。 それらの金製品は精錬され、再利用(製品化)されることは殆ど無く、“塊(ドーレ)”に加工され輸出されているのです!? 意外と知られていません。 殆ど輸入されること無く輸出が増大している今(Vol.6 2020.5.15. 参照)、日本政府は“密輸金”対策?の一環として、大手貴金属会社や商社、精錬会社に対して、厳しい規制をかけている現状です!? ここのところ例年4,400~500トン前後の需要があっただけに、鉱山会社の産出量と共に今後の動向に注目ですね。
Vol.65 2020年 金需給データ
2021.1.29 前項(Vol.64)にて2020年金の需給データをチョロッと紹介しました。 コロナ禍で大きく揺れた昨年、かなり変化が現れたので是非参考にしていただきたい!と思います。 2020年の需給データ 2019年との対比・・・・全体では3,759.6トン 前年比14%減・ 宝飾需要 ・・・ 1,411.6トン 前年比 34%減 全体(一年間)で37.55%は過去最低 中国、インドの落ち込みが大きい インドの需要 315.9トン(過去最低)・ 産業分野 ・・・ 301.9トン 同7%減・ 公的機関(各国中央銀行、IMFなど) ・・・ 272.9トン 同59%減(2019年は過去最高だった) (購入量-売却量) トルコ、インド、ロシア 購入超 モンゴル、ウズベキスタン 売却超・ 投資需要 ・・・ 1,773.2トン 同40%増 個人需要 地金や金貨の購入など ・・ 896.1トン 同3%増 金ETFなど投資 ・・ 877.1トン 同2.2倍増! 過去最高 毎年一年間の需給内訳の50%前後は宝飾品(装飾品含)需要でした。 それが昨年は37.5%強。 コロナ直撃の数字です。 また公的機関の金購入に関しても、2011年より売却量よりも圧倒的に購入量が上回っていました。 昨年にしても上回っているのですが、前年が過去最高の購入増でしたから減少率が目立ちますね。 実際に夏(立ったと記憶しています!?) に発表された数値では、ウズベキスタンが30トンの保有金を売却したことが話題になりました。 投資需要にあります金ETFに関しては、この世界の出来事の中でも何度もご紹介していたことです。 過去最高で、前年比2.2倍!? ・・・・・ 想像以上でした。 大きな数字で隠れてしまっていますが、個人の金購入も、しっかり増えていますね。 よく見れば、金ETFよりも購入量は多いのです!笑 確かに、店頭でも始めて金を購入する方が増えたように思います。 以前から金価格が上昇すると、メディアや投資セミナーでも頻繁に“金”を取り上げるので、一般の方の意識の中に“金”という投資対象が残るのでしょう。 そしてたまたま、うちのような“敷居が低い”店舗で金が買えることを知り、とりあえず買ってみる・・・・・・そういうことかな、と勝手に考えています!?苦笑 投資需要は、昨年10-12月期には金ETFの資金が流出し、残高をだいぶ減少させました。 それでも高い水準であることは間違いないのです。 前年並みに戻るとは考えられないですね!? 上記のように需給環境を見渡し、今後の金市場を考えることは様々な点で有益だと思います。 宝飾業界に従事されている方、投資事業に従事されている方、はたまた産業分野で従事されている方・・・・我々のような仕事でなくとも、この数値を分析、活用して、2021年のコロナ禍を乗り切っていただきたいと思います。 各国は未だに低金利環境です。 また大国だけでない、世界中の膨張する財政赤字も見え隠れしています。 更に高値圏で乱舞する株価・・・・・調整圧力も感じます。 コロナで崩れた経済といわれますが、コロナ以前には不安は無かったでしょうか? 皆コロナを理由に、それ以前から存在していた不安材料に“ふた”をしていませんか? 金需要の潜在的な要素は、コロナの蔓延する前と何一つ変わっていないように感じています。 これからも、金を通じて世界の出来事を出来るだけ身近な言葉や表現でお伝えしてゆきます。 皆さんに少しでもお役に立てれば幸いです。