Vol.98 連日の “暴落” を見つめて・・・・・
Vol.98 2021.6.19.
いきなり18日の早朝、『暴落』と呼ぶにふさわしい“下げっぷり” となりました。
昨日の下げ方にも “サプライズ” でしたが、本日は “トンデモない” 程の急落になりました!?汗
・昨日6/17 18:00前に$1,803.40
・同日 20:00 前に $1,795.90
・同じく 21:30 頃に $1,778.50
・日を跨いで6/18 午前0時過ぎに、$1,768.20
前日の通常取引後の清算値(終値)からマイナス$86.60!驚
1日の下げ幅としては、昨年11月9日の$93.70 に次ぐ下げ幅となりました。
この時はファイザー社、ビオンテック社のコロナ・ワクチンの治験成功の報による、経済の正常化期待を反映したものでした。
コロナ禍で明るい兆しが見えてきた、その様に受止められるものでした。
そのように考えると、金価格の上昇は人々にとってよろしくない状況時に高騰する!? ・・・・・・ あまりにも飛躍しすぎた発想ですが、金はやはり “リスク回避” の為のモノ、という考えが一般的だと感じた次第です。
この11月を前例として考えると、今回もしばらく “下げ” が続くのかな?とも思ったりしました。
さて???
昨日から今日にかけて、状況を整理し再考します。
6/16 の基準になる前日(6/15)の終値は、$1,856.40/oz。 翌日には$5.00ほど上がって、$1,861.40 。
日本の金価格=グラムあたり税込小売価格は、6/16に¥7,260、翌日には¥7,159。
この段階で既に、グラムあたりマイナス101円。
更に本日、¥7,001 。
この2日間で、日本では259円下がった価格になりました!
この原因はVol.97 でも記した、米・FOMC後のパウエル議長の記者会見。
市場は織り込み済みとはいえ、利上げ時期が1年前倒しになり、かつ過半数の理事が2023年に2回の利上げを予測する結果になりました!?
またテーパリング(量的金融緩和策の縮小)について議論も始める、という内容でした。
後者に関しては想定内という人、企業もあったと思いますが、前者・・・・・・2024年と公言していた利上げ時期を前倒しで2023年、更に過半数の理事がその年に2回の利上げを予測。
コレには市場が大きく動揺したようです。
市場の動揺といっても、現在はAIトレードが主力。
経済指標や要人発言など、キーワードに反応して一斉に売買を加速させます。
その結果上下動の波が大きくなり、市場では “乱高下” という混乱が生まれます。
しかしまだ何も起こってもいないし、何も確定していません。
金市場は本当に動きが早い・・・・・・株式のように工業やIT、金融関連など、色々な種類もないですから。
ファンドなどは利上げ前倒し観測が浮上したことで、買い建て(ロングと呼びます)が投売りされ、更に短期売買を主流とするファンドなどの下げ狙い、なども推測されています。
一直線に下げますよね!? コレもほぼAIトレードのなせる業です!?苦笑
さて2023年に2回の利上げを予測することで、・ 過熱していた景気やインフレを見込んだ取引が手仕舞いされたこと・ 主要通貨に対しUSドルが大きく上昇したこと
これらによって、コモディティ(商品市場)は全面安になりました。
更に16日には中国がインフレ抑制の観点から、価格上昇を抑えるため銅やアルミなど国内備蓄を放出することを発表・・・・・・この県も商品市場に影響を与えたものと思われます。
債券市場では、年限の短いもの(2年債など)を売り、10年から30年債を買うポジション調整の動きが見られるようです。
その結果米・長期国債の目安となる10年国債の利回りが低下し、本来であれば金価格には追い風(上昇)となるのですが・・・・・・それ以上にUSドルが力強く上昇している、ということでしょう。
USドル建てで取引される金には、ドルが高くなると割高感が一気に膨れ上がります!?汗
金市場にとっては激しい?週末を迎えましたが、もう一度冷静に見つめ直して下さい。
今回の “暴落” は、アメリカFOMCの記者会見での声明に反応した動きです。
金融政策の修正に反応した、先物市場主導の “暴落” であること。
ここまで金価格が下落すると、今までは中国、インド、中東などの現物市場が活況を呈します。
コロナが一段落している、という状況が条件だと思いますし、昨年の状況から過去の例は適切でなさそうですが・・・・・・以前より先物市場主導の値動きは、意外と早く終息してきました。
このような時に自分では、どのくらいの期間下げ続けるのか、どこまで下げ、上昇に転じるのか・・・・・・特にこの2点を注視します。
金市場に限らず相場価格は、自分ひとりの力ではどうにもならないことを知っています。
焦らずに、現在の市況をしっかりと見守りましょう!