Vol.102 ニクソンショックから50年・・・・・・・
Vol.102 2021.8.12. 1971年8月15日・・・・・・あの日から今年でちょうど50年。 毎年8月になると金業界では、あの日の大事件 『ニクソンショック』に関する金融コラムが、あらゆる金融経済紙面を占拠します。 自分がこの世界に入ってから、この時期が穏やかな年もあれば、波乱の年もありました。 それでも何年かに一度は、強烈な『記憶に残る夏』が訪れます。 昨年も自分にとってはトンデモなく記憶に残る夏でしたが、なにやら今年も目が離せない、久々に『ニクソンショックの日』を強く意識しそうな夏になりそうです!笑 まず最初に基本的な事柄、『ニクソンショック』について・・・・ 世間ではこの『ニクソンショック』には政治的、経済的なものがあるとされています。 政治的な “ショック” とは、ニクソン大統領の “中国訪問” です。 当時のキッシンジャー国家安全保障担当補佐官が極秘に訪中し、毛沢東、周恩来と会談し実現しました。 あの田中角栄氏の訪中よりも早かったのです! そして “不動産王” 大統領が北朝鮮に電撃訪問した時に、“ニクソン氏の真似!?” ・・・・と思ったのは、自分だけではないでしょう!?苦笑 そしてもう一つの経済的 “ショック” は、日本時間で1971年8月15日の米ドルと金の兌換停止宣言です。 それまで世界では金はいつでも、1オンス35米ドルにて交換が出来ました。 コレは、アメリカがいつでも金を$35で買い取ってくれる、ということです! そうです!金価格は1ドル 35USドルの固定価格だったのです! それが突然、どの関係国との相談も無く突如交換しないと世界に宣言したのです!?・・・・・・・これが経済面における『ニクソンショック』です。 そして第二次大戦後のブレトンウッズ体制が崩壊した瞬間でもあったのです。 その後何度かの体制の変遷を経て、世界に変動相場制の時代が訪れます。 コレまでの$35/oz、¥360/$ という固定相場が崩れ、変動相場に変わった金価格。 金価格にしても為替にしても、何故か金額推移の年表、グラフは全て1973年からですね。 コレは日本でもその年から変動相場制が導入されたからなのです。 さて今年も目が離せない夏・ニクソンショックの日を意識させるのは、この夏、テーパリングの開始時期について市場が騒いでいます! コレは大規模な量的金融緩和政策を施行している世界で、その縮小(テーパリング)について検討されているからなのです。 テーパリングとは、お金(お札)をジャブジャブ刷って、金利も下げて金融経済を切り盛り(拡大)してきた社会を、元の正常な状態に戻し始めましょう(縮小しましょう)、ということなのです。 今まで量的金融緩和政策の縮小には、インフレ率(物価上昇率)や経済指標以上に雇用状況を重視する旨のコメントが挙げられていました。 その雇用状況が、ここにきて数値の上では明らかに改善してきたのです。 市場では年内のテーパリング、来年からの利上げを見据え様々な憶測が飛び交っています。 その典型?ともいえる金価格の下落!?苦笑 素晴らしい?というか見事に垂直の下げっぷり、そして即急騰と、激しい『フラッシュ・クラッシュ』状態でした。 利上げは金価格にとって最大の逆風になります。 金は存在が無くなるモノではありませんが、利息も配当金も無いモノです!? ですから金利が付くものにマネーが集まるような環境になれば、金にはマネーは集まりにくくなります。…