≪ 金暴落!? ≫
≪ 金暴落!? ≫ 2021.9.29
日本時間 9 月 28 日取引時間外から、海外の金相場は“暴落”という表現が相応しい下落です。 今月に入って 16,17 日、24 日と 3 度目ですね!?苦笑
ドル建て金価格は 28 日午後 4 時過ぎ(16:00 過ぎ)に$1,750 を割れ、その後 6 時間も待たず 21 時 50 分過ぎには一時$1,728 台へ。
更に細かく見れば、午前 11 時過ぎには$1,753 台だった価格が 11 時間もしないうちに$25 下落した のです。
日本円にして 90 円前後、税込小売価格では約 100 円に相当します。 同時に米株式市場も、前日からの下落を更に割って日付を変えました。
現在$1,740 台へ戻していますが、まだ安定した “上昇” とはいえない状況です。
コレは別に日本の総裁選挙のゆくえを懸念した訳では無く、また米株価に鋭く反応した?訳でもありませ ん。 また後述する恒大集団の影響でもないようです。
28 日はパウエル議長(米・FRB 議長=日銀総裁にあたる)の米・上院議会証言がありました。 民主・共和両党から、厳しい質問、やり取りが報道されています。 議長の再任に反対する旨の発言もあっ たようです(米・FRB 議長は大統領の指名後、議会承認が必要です!)。 議会証言内容は、FOMC(後述)後の声明と大きく変わらないものと思いますが、一貫して『インフレは一時 的』と言い続けてきた発言が、ココに来て変化した点を市場は疑問視しています。
個人的には、以前より 『今の金価格はアメリカの長期国債の利回りに反応する』 と言っていた通りの下 落と見ています。 大事なのは何故利回りが上昇したか、です。
市場ではテーパリング(後述)によるインフレ懸念からか、米 10 年国債の利回りが 1.5%を大きく超えて きました。
それに合せて米ドルがユーロだけでなく、主要通貨に対しドル高へと進行しました。 金価格で言えば、むしろ “よくココで止まった” 感が強いと思います。
およそ 2 ヵ月半ぶりに 1 ドル/111 円台の円安を受けて、日本の金・税込小売価格はナントか¥6,900 台でした。 円安が進行することで、金相場の下落は相殺されてしまいますね!?
先述の通り今回の下落は、9 月 22 日の FOMC(日銀の金融政策決定会合のようなモノ)後の声明内 容、テーパリング(金融緩和策の縮小~ゼロ金利政策の撤廃)による利上げからインフレを懸念する動きが 原因と思われます。
株式市場は正にその先読みから下落したと考えられます。
同時に “調整局面” でもあったとも考えられています。
何故なら、11 月(次回の FOMC)に緩和策の縮小、年内に縮小を終了し 2022 年より利上げというシナ リオが既にネットや紙面を踊っているのです。
正直に言って、コレはやり過ぎというか行き過ぎ。
誰が考えても分かることですが、月額 1200 億ドルもの債権を買い付ける行為をいきなりゼロには出来な いでしょう? 徐々に減少して、市場の反応を見ながら更に減少して・・・・・それでも年内にゼロにすることは難しいと思い ます。
勿論経済が更に強く V 字回復したとしても、年明け直ぐに金利を上げることは??・・・・・・・一度失敗し ているだけに慎重になると思います。
また現在の市況も考える必要があります。
NY ダウで$500 以上、ナスダックでも今年 2 番目の下落・・・・・・紙面上では様々な憶測が流れます が、もしそのまま受け留めれば金価格はもっと下落しても、と思いました。 ココで止まったとは、現在の経済状況を考えればまだ “金” には出番がありそうです。 その理由、大きな理由としては二つ挙げられます。
一つ目は、アメリカの債務超過問題。 いつものことでもありますが・・・・・・アメリカと言う国には、法律によっ て国の債務に上限を設けています。 勝手に国債を発行できないのです! どこか東洋の首相がコロコロ変わる?・民主国家とは大きく異なります!? そしてアメリカはこの上限を既に超え、10 月 18 日には国家機関が停止してしまうのです。 以前にも同じようなことがありました。 警察や空港などを除き、国立公園や博物館等が 2 週間にわたって 閉鎖されました。
米・民主党案を野党・共和党が反対しているのです。 コレこそ政治の駆け引きです。 コレによって、米国債、米ドルがデフォルトの危機に瀕してしまいます。
二つ目は、中国・恒大集団(エバーグラントグループ)のデフォルト危機です。 利払い期日を迎えた恒大集団は、既に地方政府の国家企業に多額の株式売却が進められたようです。 およそ 99 億元(日本円で 1700 億円)。 負債総額は日本円で 33 兆円を超えていますが・・・・・。 また各国中央銀行総裁などから、リーマンショックの時のような金融危機の海外への波及はない、などの発 言も多くなっていますが・・・・・・額が額だけに余談を許さない現状です。
日本の GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、中国国債への投資見送りを発表しました。
今の相場価格の下落は、先読みで動いているモノと感じています。 俗に言う、『噂で買ってニュースで売る』 の逆バージョンとでも言いますか・・・・・・勿論体力の無い企業等 は、この流れに飲まれてしまうかも知れません。 但し金に関して、特に金の現物保有の点で言えば、今慌てる必要も売り急ぐ必要も無い、と見ています。 このまま下落が続くとも考えられませんが、長い目で見れば、この様なことは頻繁に起こるものです。 次に気にするのであれば、11 月の FOMC の結果、またその時までの経済状況を見極めたいと考えていま す。