Vol.83 中央銀行の金保有にも変化が・・・・・
Vol.83 2021.4.23.
先日日本の造幣局内の金を、一般会計から国家=日銀、外為特会移行する・・・・・日本の保有金の量が増えるかもしれない、という内容を記しました。(Vol.77 参照)
その後の正式な発表というか報道は無いので・・・・・・!?
昨年から今年に入り、各国の“台所事情”が様々なカタチになって現れています。
というよりも、昨年のコロナの影響から、各国の財政政策は大きな岐路に立たされているということだと思います。
今回は世界の中央銀行が保有する“金“にスポットを当ててみます。
ここ10年間で、全世界の中央銀行は売り買いを繰り返しながら保有金を増やしてきました。
その代表がロシア。
ほぼ毎年毎月金を買い続け、現在は世界でも有数の金保有国(世界6位)なりました。 その保有量は、なんと2,295トン以上!
それが昨年4月、ロシア中央銀行は金の購入を停止すると宣言。 それ以降IMF公表・ロシアの保有金量の増減は止まっています。
元々ロシアは産油国です。 原油価格が高騰していた間に、粛々?と金を買い始めていました。 過去にロシア通貨=ルーブルは破綻していますから、コレは賢い選択に思えます。
しかしここ数年間のロシアの金購入は、また意味が異なるようです。(初めから?かも知れません!?)
ロシアは金を購入する為に、保有していた米ドルを売却しています。 そうです!米ドルの比率を下げて保有する金の比率を高めているのです。
一方、最近の中国も同じように動いています。 以前は世界一の米国債保有国であり、オバマ元大統領の最初の訪問国でもあったほどでした。 それが現在では米ドルの比率を下げ、金を購入・・・・・・気付けば、日本が世界一の米国債保有国になってしまいました!?苦笑
ロシア、中国とも、米ドル比率を下げて、金・ゴールドやお互いの国の通貨を増やしているようです。
ちなみに世界の金保有国ランキングでは、ロシア6位、中国7位です。
また今、新興国や東ヨーロッパの国が保有量を増やしています!
コレにはロシアや中国とは若干異なる理由が見えます。
経済基盤を再建する目的とも言われますが、地政学的な要素も十分含んでいるようです。
そして今年に入り、いきなり代表的!?金購入国になったハンガリー。
外貨準備残高に占める保有金量は、31.5トンから3倍増の94.5トン!(2021.4.IMF)。
2019年末には増えていませんから、今年の1~3月期に購入のようです。
実はハンガリー、2009年にも3.1トンから31.5トンへ10倍に増やした経緯があります。
また2018年にはポーランドが100トンもの金を購入しました。
ポーランド中央銀行関係者の話では、また同じくらいの量を増やす予定、ということです。
東欧諸国の金保有量の増加は、ここ数年の国際情勢が影響しているように見えます。
上記の国々を世界地図の上で確認すれば・・・・・・・近隣大国への脅威、危機感の現れ、とも見えるのは自分だけでしょうか??
それ以外にも、ここ数年は“新興国”の購入が増えています。
ウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタン、そしてトルコ・・・・これらの国々にしても、東欧諸国と同じ状況も考えられます。
コロナ前の2019年を一例にすると・・・・・・ トルコ およそ159トン・ ロシア 〃 158トン・ 中国 〃 96トン
2020年はコロナ禍の財政難から年後半にかけて、各国の金売却が目立つ一年でした。
その結果、世界の中央銀行の金の売却量が購入量を上回りました。
2020年 金購入量 < 金売却量
コレはリーマンショック後の2010年から続いた各国中央銀行の金の買い越しが、10年ぶりに売り越しに転じた一年ということです。