Vol.68 米・ドル離れ・・・・・・トピックスから今の時代を考えてみる
Vol.68 2021.2.10.
金を眺めながら、様々な世界の出来事に出会うことが多々あります。
経済だけでなく、政治や金融は勿論、ゴシップ、民族・宗教や人種、更には普段なら興味もなく見過ごしてしまうトピックスまで、金・ゴールドという“窓”を見ると、今までとは異なる世界が見えてくる・・・・・偉そうなことは言えませんが、自分が実体験として皆さんへ強く推奨できることと思っています。
さて今日は、最近の(チョッと時間が経ったけど・・・!?) トピックスから驚きの2点をご紹介します!
◆まず一つ目は・・・・・
今月になって、仮想通貨・ビットコインが急騰しました。
米EV(電気自動車)大手テスラCEOイーロン・マイク氏は、米・証券取引委員会(SEC)に提出した有価証券報告書の中で“多額の現金の運用先を多様にする投資方針に改める”としました。 運用対象として、暗号資産などのデジタル資産や金地金、金EFTに言及しました。 この発表の為?か、金価格は一時高騰します!笑
テスラは今年1月、ビットコインを15億ドル(日本円で約1,600億円!) を購入。 更にテスラ製品をビットコイン支払に対応させる考えも表明しました!
ビットコインが急騰した訳ですね!?苦笑
しかしこの発表には、海を超えて賛否両論、様々な意見が飛び交っています。
いくつか目を通すと、アメリカではテスラ車はネットで買えるそうです。 ネットで注文し、テスラ社員が自動車に乗って納車、その社員は簡単な説明をして、Uberに乗って帰る・・・・・銀行振り込みですが、ビットコイン支払であれば更に簡素化できると考えたのでしょう、ということです!
正直言って凄い時代になった・・・という印象です。 自分が取り残されていく、そんな気持ちになりました。
ただココで大事なことは、ドルの価値が薄れてきている? ということです。 米国でドル決済でなく、仮想通貨決済を可能にする、言葉通りにその程度のことと済ませないで下さい。 桁外れのキャッシュを稼ぐ米企業が同じ様な方向を向けば、間違いなくドルの信認に発展します。
ある経済学者が“暴落の前に金融の天才がいる”という表現をしました。 ここ数年、世界中にポピュリズムという言葉に見合う人物が登場しました。 平和ボケの我々日本人からすれば、世界中が利己主義的な、トゲトゲしい世の中になる・・・・・そんな心配をされた方もいるかと思います。 その象徴のように世の中の格差が増大し、株式市場でも実態とかけ離れた、それこそ“バブル”と思わせる、異様な世界を創造しています。 そのポピュリズムの象徴?混乱の中心人物がトップを降りた途端、金融の世界に“異端児”と叫ばれる人物が舞台に上がっています。 世の中教科書通りにはいかないことだらけですが・・・・・特に今、このコロナ禍では過去の症例?は通用しない、と自分では感じています。
本当に世間で言う“バブル”なのでしょうか??
そういえば、あの、元FRB議長アラン・グリーンスパン氏の言葉に、“バブル否か、はじけてみないと分からない” というモノがありました。
◆さて二つ目のトピックスは・・・・・
2021年1月、ロシアの外貨準備高の構成比率が公表されました。
ロシアの中央銀行は保有する海外準備高の構成比率を半年後に公表します。※ 外貨準備とは、『国の金融当局が対外債務(外国に対する借金)の返済や輸入代金の決済、自国通貨の為替レートの急変を防ぎ、国際取引を円滑にするために行う』とあります
殆どの国が、基軸通貨・ドルを蓄えています。 ちなみに日本は、米ドルだらけの外貨準備高です!?苦笑
2020年6月末の数値ですが、ロシアの外貨準備高でドルは、全体の22.2%(前年比2%減)、金・ゴールドは同22.9%(3.8%増) ・・・・・ ドル < 金・ゴールド となりました。
ロシアは世界でも群を抜くほど、毎月のように大量の金・ゴールドを市場から購入していました。 しかし昨年4月、金・ゴールドの購入を止めると公表しました。 したがって金購入を続けて保有量が増えた、ということではないと思われます・・・・・この数値は、金価格の上昇によって時価評価額が増大した、と考えるのが賢明でしょう。
しかし毎月のように金・ゴールドを購入していたのですから、現実に保有していたドルを手放していることにもなりますね! ロシアは時価の変動によって、ドルを超えるほど金への分散が出来ている、ということでもあります。 ただし別表を見ると、人民元が増えていますね!?苦笑
注: 金・ゴールドはドル建てで取引されます また各国の金の保有量は3ヶ月に一度IMFへ報告義務
があります! ※ ロシアの外貨準備残高としての金保有は、2,298.53トン。世界第6位。 参考:米国、ドイツ、IMF、イタリア、フランス、ロシア、中国、スイス、日本、インドと続く
コレには様々な理由が考えられます。 日本人の多くの方は幸せにも忘れかけています!?が・・・・・ウクライナ問題からロシアは米国の経済制裁の対象とされました。 現在アルミなど一部解除の話も耳にしますが、その後のイランの経済制裁が影響大と伝えられています。確かにイランへの経済制裁の内容を見ると、ロシアの方向転換!?の気持ち、政策が想像できます。
イラン経済制裁では、イランはSWIFT(国債銀行間通信協会)から遮断されました。 この遮断によりイランは輸出入にかかわる代金受取、支払が困難となり、国際貿易が出来なくなりました。 基軸通貨・ドル決済とはこの様な威力を持つものなのです。 “ドル経済圏”にいる限り、アメリカの“いいなり”であり、いつ制裁されるか・・・・・・その様に考えることは、ごく自然?イヤ必然ですよね!?
この様な思惑が一致!?する国があります!・・・・・そう、お隣の中国。 中国とは、貿易決済時には自国通貨が利用拡大されています。
ロシアの中国への輸出時のドル決済は、2018年は75.1% ⇒ 2019年38.7% へ低下しています!
ロシアの金の保有、保有比率から、国際社会情勢へ話が飛躍?した訳ではありませんが・・・・・金・ゴールド自体、経済・金融に深く関わっています。 表面だけの“金・ゴールド”では、“高い”“重い”“ギラギラしている”・・・・・・それで終ってしまいます!? 全てとはいえませんが、コレらように繋がりまた絡み合って、我々を取り巻く“環境”となっているのです。
今回も、たまたま、“金を通じて世界情勢に触れただけ”のことですが・・・・・・。
皆さんの“金を通じてモノの見方”にプラスになれば幸いです!